米国企業は離職率が高く転職回数が多いと言われていますが、以前にも書いた様に企業によります。
では実際にFortune500企業の平均勤続年数ランキングを見て米国企業の平均勤続年数ランキングを見ていきましょう。
平均勤続年数長い米国企業ランキング
まず平均勤続年数が長い米国企業ランキングを見てみましょう。
- Eastman Kodak Company(イーストマン・コダック) 20
- Aleris Rolled Products(アレリス・ロールド・プロダクツ) 16.5
- United Continental Holdings(ユナイテッド・コンチネンタル) 12.6
- Visteon Corporation(ビステオン) 11.3
- General Motors Corporation(ゼネラルモータース) 10.3
- CenturyLink(センチュリーリンク) 10
- Mohawk Industries Inc(モホーク・インダストリーズ) 10
- YRC Worldwide Inc.(YRCワールドワイド) 9.7
- Domtar Corporation(ドムタール) 9
- Autoliv Inc.(オートリブ) 8.8
米国企業でも平均勤続年数が10年以上の企業は結構有る事が分かると思います。しかし平均勤続年数が10年以上の企業は7社しかなく全般的に平均勤続年数が低い事も分かりますね。
平均勤続年数短い米国企業ランキング
次に平均勤続年数が短い米国企業ランキングを見てみましょう。
- Massachusetts Mutual Life Insurance Company(マスミューチュアル生命保険) 0.8
- American Family Life Assurance Company of Columbus (AFLAC)(アメリカンファミリー生命保険) 1.0
- Amazon.com Inc(アマゾン) 1.0
- Mosaic(モザイク) 1.1
- Google, Inc.(グーグル) 1.1
- Wellcare Health Plans, Inc.(ウェルケア・ヘルス・プランズ) 1.2
- Ross Stores, Inc(ロス・ストアーズ) 1.2
- Group 1 Automotive, Inc.(グループワン・オートモーティブ) 1.2
- Chesapeake Energy Corporation(チェサピーク・エナジー) 1.2
- Paccar Corporation(パッカー) 1.3
- Freeport-McMoRan Copper & Gold Inc(フリーポート・マクモラン) 1.3
- Family Dollar Stores Inc(ファミリー・ダラー) 1.3
- Devon Energy Corporation(デボン・エナジー) 1.3
- Brightpoint North America, Inc.(ブライトポイント) 1.3
- Amerigroup Corporation(アメリグループ)1.3
保険会社は平均勤続年数が短くなっており、1位と2位になっています。
日本では転職したい企業ランキング1位のGoogleですが、平均勤続年数は1.1年と短いです。
しかし平均勤続年数ワーストランキングでは無く、あくまでも「短い」としている所でも転職が一般的な事は伝わります。1つの会社に何年いたかで評価しないという事でもあり、ここら辺も日本企業とは評価基準が異なります。
有名な米国企業の平均勤続年数
次は平均勤続年数ランキングではなく、日本でも有名な米国企業の平均勤続年数を見てみましょう。
- 449 Berkshire Hathaway Inc(バークシャー・ハサウェイ) 1.5
- 435 eBay Inc.(イーベイ) 1.9
- 435 Dish Network Corporation(ディッシュ) 1.9
- 422 Qualcomm Inc(クアルコム) 2.0
- 422 Apple Computer, Inc(アップル) 2.0
- 388 Yahoo! Inc.(ヤフー) 2.4
- 378 J.P. Morgan Chase & Co. (JPMCC)(JPモルガン) 2.6
- 378 The Goldman Sachs Group, Inc.(ゴールドマン・サックス) 2.6
- 348 Starbucks Corporation(スターバックス) 2.8
- 348 McDonald’s Restaurants Ltd.(マクドナルド) 2.8
- 278 Oracle Corp.(オラクル) 3.2
- 278 Nike, Inc.(ナイキ) 3.2
- 270 Wal-Mart Stores, Inc(ウォルマート) 3.3
- 256 Bank of America Corp. (BOFA) 3.5
- 243 Cisco Systems Inc(シスコ・システムズ) 3.7
- 225 Dell, Inc.(デル) 3.8
- 225 Coca-Cola Enterprises, Inc.(コカ・コーラ エンタプライズ) 3.8
- 225 Citigroup, Inc.(シティグループ) 3.8
- 212 The Walt Disney Company(ウォルト・ディズニー) 3.9
- 212 PepsiCo Inc(ペプシコ) 3.9
- 194 The Coca-Cola Company(コカ・コーラ) 4.0
- 194 Microsoft Corp(マイクロソフト) 4.0
- 175 Western Digital Corporation(ウェスタン・デジタル) 4.2
- 168 Intel Corporation(インテル) 4.3
- 156 Philip Morris Companies Inc(フィリップ・モリス) 4.5
- 150 The Boeing Company(ボーイング) 4.6
- 138 Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン) 4.7
- 120 Omnicom Group Inc(オムニコム) 4.8
- 120 Micron Technology, Inc.(マイクロン・テクノロジー) 4.8
- 120 Chevron Corporation(シェブロン) 4.8
- 84 Texas Instruments, Inc.(テキサス・インスツルメンツ) 5.0
- 77 Time Warner(タイム・ワーナー) 5.1
- 69 Hewlett-Packard Company(ヒューレット・パッカード) 5.2
- 51 Ford Motor Company(フォード) 5.8
- 21 AT&T Inc. 7.1
- 17 Xerox Corporation(ゼロックス) 7.2
- 13 Agilent Technologies(アジレント・テクノロジー) 7.5
http://www.payscale.com
アップルはGoogleの2倍では有りますが平均勤続年数2年、マイクロソフトはGoogleの4倍で平均勤続年数4年とやはり平均勤続年数が短いです。
日本では働きやすいとされているアジレント・テクノロジーの平均勤続年数は7.5年となっており、確かに働きやすいのかも知れません。しかし、それでも7.5年です。海外企業は業績が悪くなると直ぐに解雇しますから当然ですよね。
米国も離職率を気にする
これら平均勤続年数ランキングはほんの一部に過ぎませんが、米国でも離職率に対する流れが変わってきています。
実は最近米国でも離職率の高さを重視する様になってきており、雇用動態調査でも離職率が発表されています。
米国全体の離職率は2.1%。転職など自発的離職者は313万人、レイオフやリストラ・解雇者は170万人。前月と比較すると自発的な離職者は減り解雇者は増加しています。
Linkedinの調査で米国の広告業界は他業界より離職率が高くなってしまい、GoogleやFacebookの様なIT広告業界へ流れてしまっていると危惧しています。そのGoogleやFacebookなども離職率が高いという・・・なんじゃそりゃ。
余りにも離職率が高いので従来型の採用方法ではなくなって来ています。
冒頭の調査を発表しているJOLTS自体も数年前から業種・職種ごとの平均年収や仕事内容など詳細に記載し、その仕事に興味を持っている人に対しての求人を掲載しています。
要は米国で転職は一般的ではあるものの不満を持っている人は多数おり、安定した雇用を求める人と政府の意向で離職率を低くする流れとなっています。
しかしながら米国本社では勤続年数が短い企業でも日本法人となると逆に平均勤続年数が長い企業もあったりします。
解雇規制が効いている事も理由の一つですが、前述の通り採用方法が全く異なっているからです。前述の通り1社に何年いたかで評価するのではなく、どんな事が出来るのかで評価する様になっています。
ですのでブランクがあっても無職でも評価してくれる会社もあります。米国企業と日本企業の良いところが上手く作用した例ですね。年齢も殆ど気にしませんし。
就活や転職活動する際に、その転職先企業を調べるのは当たり前になってきており、募集職種の仕事内容も転職サイトに詳細に記載されていたりします。SNSでブラック企業ぶりを暴露され始めているのも離職率を気にする理由の一つでしょう。
国別の平均勤続年数ランキング
米国企業の平均勤続年数が短い事は分かりましたが、日本を含む先進国の国別平均勤続年数ランキングも見てみましょう。
- アメリカ 4.6年
- デンマーク 8年
- イギリス 8.8年
- ノルウェー 9.5年
- オランダ 10年
- オーストリア 10.5年
- ドイツ 11.2年
- 日本・フランス 11.9年
- イタリア 12年
この様な結果となっており平均勤続年数が短い先進国は勿論アメリカ、10年程前の調査結果から更に短い勤続年数となっていますね。
終身雇用と呼ばれる日本ですが、その日本よりもイタリアの方が長くなっています。といっても1ヶ月だけですけどね。EU全体では約10.6年程度となっています。
日本はもう少し長かったのですが、近年は終身雇用の企業も減り、徐々に短くなってきている傾向となっています。
ただ、このまま実力主義やジョブ型雇用などが増加すると、日本も徐々に平均勤続年数が短くなってくるでしょうね。
国別の転職回数
アメリカでは転職をする回数は平均10回前後で、平均4.4年で転職すると言われています。
先程の先進国の平均勤続年数ランキングでも同様の結果となっていますので、大体当たっていると思います。約4年を10回前後ですから年齢を気にしない事も分かりますよね。
欧州のEUや英国でも転職回数は平均5回前後ですので、アメリカの転職回数は圧倒的に多く、日本の転職回数も徐々に増加しており平均5回前後に近くなっています。
転職は3回までという謎のルールは既になくなっており、終身雇用の減少の影響も加わり、転職回数も徐々に増えていく傾向となっています。むしろ転職した事が無い方が珍しい。
アメリカでも転職回数が多い人をジョブホッパーと呼び、あまり良いイメージを持たれていませんでした。と言っても日本のソレとは異なり、10回以上の転職回数だとちょっと多いね程度です。そんな転職回数が多い人に対するちょっとしたイメージすら、速度を増す経済の流れと人の流動性によって消えました。
もともと転職に対する悪いイメージはありませんし、これだけ流れの早い経済や社会の状況下において延々と一つの会社に勤務し続けている事は逆におかしいですから・・・。
アメリカに限らず世界各国とも若い世代ほど転職回数を気にせずに転職しており、それどころか、もはや会社に属さない若者も多数となってきており、日本でもその傾向を感じる事が出来るでしょう。
やりたい事や好きな事を仕事に出来たら、どんなに楽しいだろうか。昔から良く言われていますが、現実になってきているのでしょう。
この傾向が冒頭の米国企業が離職率を気にする理由に繋がっています。